世界の医療における課題を、
第一線の医師が語る

山田 信幸さん(形成外科医)世界の医療団日本 理事
柳生 敏宏小豆島ヘルシーランド株式会社 代表取締役社長
新型コロナウイルスの流行で、日本でも医療をめぐる様々な課題や問題に注目が集まっていますが、世界ではそもそも医療を満足に受けることができない地域もたくさんあります。

その最前線で活躍する形成外科医・山田先生にお話を伺いました。
世界の医療団日本 理事
山田 信幸さん(形成外科医)
小豆島ヘルシーランド株式会社
代表取締役社長 柳生 敏宏
柳生: 山田先生は小豆島にご縁があるそうですね?
山田先生: 祖母の出身地が小豆島です。父と一緒に私も何回か小豆島にも行きました。夏休みを小豆島で過ごしたことは、子供の頃のいい思い出です。
柳生: 先生はどうして形成外科の医師になろうと思われたのですか?
山田先生: 中学時代、野球をしていたのですが、目にボールが当たって出血。丸一日片目が見えない状態が続いたんです。その時、お医者さんに診てもらい治療してもらったら見えるようになった。「こんなすごいことが出来るんだ」と驚き、自分も医師になろうと思いました。
柳生: 世界の医療団は、「誰もが治療を受けられる未来を」目指す団体ですが、“スマイル作戦”という事業があるとうかがいました。
山田先生: 先天性疾患や戦災、事故などが原因で、顔面や身体に著しい奇形・損傷が生じた人々に形成外科手術を行い、ごく普通の社会生活を取り戻すサポートをするという医療支援プロジェクトです。活動に参加して15年になります。最初はカンボジアから参加し、その後バングラデシュでも活動しました。

バングラデシュは世界最貧国のひとつですが、先天的な奇形や火傷(熱傷後瘢痕)など、形成外科が対象とする疾患を抱える多くの人たちが手術を受けることができずにいます。熱傷後瘢痕などにより、目の皮膚やひじが癒着した状態は、命に関わることではないため、放置されることが多いんです。
柳生: スマイル作戦は具体的にはどのような流れで行われるのでしょうか。 現地の医師と一緒に診察を行います
山田先生: 形成外科医、麻酔医、看護師などがチームとなり、日本から現地に入ります。移動時間がとても長く、交通渋滞も多いため、空港から医療現場に到着するまで丸一日かかることも。夜中の1時に到着し、朝8時から100~200人を事前診察します。現地の限られた人材で安全に対応できる患者さんを選定します。

翌日からはずっと手術です。手術室は2〜3室、形成外科医は2~5名。夜8時ぐらいまで、1部屋で4~5例手術します。多いときは7~8例したときもありました。必要に応じて現地の医療者に術後処置や今後の対応を申し送りして、ミッションは終了です。
柳生: 現地に到着してから事前診察、手術と休む暇のない状態ですが、お疲れにはなりませんか。
山田先生: 手術をした患者さんに笑顔で帰ってもらうことがうれしいですね。私自身、生き生き仕事をしていると思います。
柳生: 医療技術を現地の医師や医療チームに伝達することは難しくありませんか。
山田先生: バングラデシュには形成外科医がほとんどいないので、難しいところはあります。私たちが現地に行ったとき以外、教育を受ける機会がなく、継続して学ぶということができない。現地の医師への技術移転は課題のひとつですが、現地の医師や看護師たちは非常に熱心に、真剣に学ぼうとされています。形成外科は改善の結果が分かりやすいので、現地の医師たちも興味をもってくれる。その興味を次へとつなげたいと考えています。
柳生: 世界の最貧国における医療について、具体的なイメージがわいていませんでしたが、先生のお話を伺って、ただただ尊敬の念しかありません。実は私自身、1年半前にドクターヘリで運ばれ、形成外科医の治療を受けました。手術によって怪我をしたところがきれいになり、まさに分かりやすく結果が見えることを実感しました。こうした高度な技術をボランティアとして開発途上国で実現されていることは素晴らしいことだと思います。
山田先生: 非政府組織であるNGOは、政府や地方自治体、企業ではありません。そのため制約なくさまざまな地域に行き、医療に関わることができます。政治的にも宗教的にも中立な立場なので、思想や人種、宗教の違いがあっても、活動の妨げにはなりません。世界の医療団には、医療の知識や技術、語学のスキル、事業運営力があることも強みです。

もちろん政府同士の関係は重要で、本来は政府が予算を組んで動くべきですが、NGOは小さいだけに機動性がある。寄付や助成金を元に速やかに、そして柔軟に動くことができます。企業の場合は利益を生まない事業を続けていくことは難しいでしょう。政府や企業が担えない活動を継続して行い、社会課題の解決を目指していることにNGOの存在意義があります。
柳生: 私たち小豆島ヘルシーランドとしては、このような大きな社会課題を認識しつつ、まずは地元・小豆島に人が暮らす場(営み)を残すことを意識していきたいと考えています。実は小豆島の航路がひとつ減ることになりました。生活の持続可能性が減ってきているという実感があり、私自身危機感を持っています。

また、日本全国で考えた時、私が理想だと思うのは、医師にかからなくてもいい社会です。人々の健康維持のために私たちにできることは、ひとつはオリーブをはじめ、健康に役立つ食品の提供。そして、いざというとき何かあったら医師が診てくれる、助けてくれるという社会を持続させること。そのためには医師の皆さんにも健康でいてもらわなくてはいけません。私自身、1年半前の体験で医療に携わる方々への感謝の想いを強く持っています。山田先生のような方々がさらに活躍されるよう、持続可能な支援をさせていただきたいと思っています。

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A)トートバッグ A)トートバッグ
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ポストカードの例 ポストカードの例
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